A列本判(A判)・B列本判(B判)って何のこと?
紙のサイズは原紙と呼ばれる5種類から始まる
A4やB5は手紙やノートなど最も身近で使われているサイズなので、会話の中でも使うことも多いですし、大きさもイメージしやすいですよね。
巷にあふれる用紙や印刷物は様々ありますが、これらは大きな紙を裁断して使われています。今はチラシや書類、小学校の教科書などA4がとても多くなりました。
でも昔はB5の方が多かったのです。
では何故A4が主流になったのでしょうか。一つの要因としては、昔は白黒印刷で文字だけや少しの挿絵が入った印刷物が大半でした。それが時代とともに、フルカラー・写真挿入・グラフィカルなデザインが当たり前になり、紙面の大きさがB5では足らなくなってきて、B5 < A4 へと印刷物の利用度が変化してきたと言われています。
そんな紙の大きさのことや、何故「A」や「B」と呼ばれるのかについても、詳しく見ていきたいと思います。
- 原紙って何のこと? 5種類あるJIS規格
- 1. A列本判(625mm×880mm)
- 2. 菊判(636mm×939mm)
- 3. B列本判(765mm×1,085mm)
- 4. 四六判(788mm×1,091mm)
- 5. ハトロン判(900mm×1,200mm)
- A判・B判の比較。大きさのイメージを掴もう
- 1. 数字でみるA判・B判のサイズ
- 2. A判・B判の大きさの比較
- まとめ:魅力ある印刷物を作るために、目的に合った大きさを選ぼう
原紙って何のこと? 5種類あるJIS規格
原紙って言葉を聞いたことはありますか?
JIS(日本工業規格)の規格サイズとして定められており、A列本判・B列本判・菊判・四六判・ハトロン判という名前の5種類があります。
原紙寸法の大きさ(仕上がり寸法に裁断する前の状態)を指しています。
そして『仕上がり寸法』というものもあり、原紙寸法と同じくJISで定められています。
これらはA4、B4などコピー機、プリンタ設定などで一般的に使われなじみ深いものですよね。
原紙5種類のサイズ比較
1. A列本判(625mm×880mm)
A判はドイツの規格で19世紀末ドイツの物理学者オズワルド氏によって提案されされました。面積が1平方メートルの「ルート長方形」をA0としました。
A列本判は国際規格サイズなので外国の書籍もA4サイズが多いと思います。日本でも特にA4は身近に溢れています。コピー用紙と言えばA4を購入される方が圧倒的だと思います。
2.菊判(636mm×939mm)
菊という名前から日本古来からあるのかな?と思いそうですが、実は明治時代、アメリカから輸入された紙が元になっています。
菊判はA判よりひと回り大きいため、A判の代わりに利用されることも良くあります。
菊という名の由来は、「新聞の【聞】の字がキクと読めるから」「アメリカで商標であるダリアの花が菊に似ていたから」「日本の皇室の紋章が菊であるから」などが諸説として伝えられています。
現在も日本の印刷業界において菊判は四六判と並び、書籍の印刷など広く使われています。
3. B列本判(765mm×1,085mm)
B判は日本独自の規格です。江戸時代の公用紙「美濃紙」に由来(尾張藩が美濃地方で作らせた紙が公用紙として認められた)しているそうです。だからこそ日本ではB5サイズのノートなど身近に溢れているのですね。
とはいえA4やA3の需要が増加しA判を用いることが多くなり、B判は減少傾向にあります。
しかしながら全体数は減りましたが、B5ノートや大判印刷物などでは「B判が丁度良いなあ!」というケースもまだまだ多くA判とB判が混在しているのが現状です。「A」と「B」の2種類ある理由が、遠く江戸時代にさかのぼる! なんて、ちょっと奥深いですね。
4.四六判(788mm×1,091mm)
イギリスの紙の規格である「クラウン判」が元になっており、明治時代にイギリスから輸入されました。
この大きさがかつての日本で使われていた美濃判(代表的な和紙で有名 273mm×393mm)の約8倍の大きさに相当するため、大八ツ判と呼ばれ大変重宝されました。
何故、四六という名が付いたかというと、この紙から丁度32面を取ることが出来ます。この32面を書物を制作するために化粧断ちすると、横4寸2分、縦6寸2分の書物が出来上がることから、四六判と呼ばれるようになったそうです。
5.ハトロン判(900mm×1,200mm)
とりあえず一番大きいです!!名前の由来はドイツ語の「Patronenpapier パトローネンパピァー(弾丸の薬莢を包む紙)」といわれています。昔は一般包装紙や封筒などで使われてきました。現在は包装紙などで使用されています。
A判・B判の比較。大きさのイメージを掴もう
1. 数字でみるA判・B判のサイズ
それでは一般的に馴染みのある「A」と「B」の紙のサイズを表にして見ていきましょう。
A判・B判それぞれJISによって紙加工の仕上げ寸法が定められています。
「A0・B0」が一番大きいサイズです。それを半分に折ると「A1・B1」、さらに半分に折ると「A2・B2」となります。
A判 | サイズ(mm) | B判 | サイズ(mm) |
---|---|---|---|
A0 | 841×1,189 | B0 | 1,030×1,456 |
A1 | 594×841 | B1 | 728×1,030 |
A2 | 420×594 | B2 | 515×728 |
A3 | 297×420 | B3 | 364×515 |
A4 | 210×297 | B4 | 257×364 |
A5 | 148×210 | B5 | 182×257 |
A6 | 105×148 | B6 | 128×182 |
A7 | 74×105 | B7 | 91×128 |
上の表が規定のサイズとなります。基本的には規定サイズを指定して印刷する場合が多く、印刷物注文が初めての方も安心して注文し易いかと思います。
ただしある程度の枚数を印刷する場合は変形サイズという扱いが可能です。好みのサイズで紙を裁断することで変形サイズで自由にサイズを選んで印刷物を作ることが可能になります。
2. A判・B判の大きさの比較
A判とB判の大きさの比較です。A0やB0は大きいですね。この大きさになると折り加工が前提の場合が多くなります。
大判といえば、よくポスター等に利用され見かけるのはA1が多いですね。A1は『新聞紙を見開いた大きさ』です。
このA1を半分に折った大きさがA2で、手に取って見やすい大きさとなり価格も手軽なので様々な用途に利用されます。
A判とB判のサイズ比較
まとめ
魅力ある印刷物を作るために、目的に合った大きさを選ぼう
紙の大きさについて何となくイメージがつかめましたか?例えばポスターを作ろうと決めても「文章などの内容量」「近くで見るのか、遠くから見るのか」「手に取って見る印刷物か」などによって適切な大きさは変わってきます。
大きさが大きくなればなるほど、制作・印刷・用紙の費用は上がります。
内容量や予算など、総合的に考えながら用紙のサイズを決めていくことは重要ですね。